おいしい豚と大きな理念で日本を変える1


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201003miyaji.jpg宮治勇輔(みやじゆうすけ) : 1978年神奈川県藤沢市に養豚農家のこせがれとして生まれる。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、(株)パソナ入社。「いつかは起業したい」との思いから、会社員時代は早朝の勉強が習慣に。
「一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にする!」との思いから、05年同社を退職。

「まずは実家の養豚業を何とかする」ために、収入月3万円のバーベキューで起業することを決意。
06年に父親から引き継いだ養豚業を法人化、株式会社みやじ豚を設立。同社代表取締役社長。
友達や知り合いに声をかけて始まったバーベキューは口コミで広がり、現在では個人向けの直販だけでなく、「みやじ豚」は全国の高級レストランなどにも取引されるようになる。

(株)みやじ豚のほか、湘南で活躍する起業家らを支援するNPO法人湘南スタイルに参画、09年には就農間もない農家が自律するためのマーケティングとブランディングを支援する場としてNPO法人農家のこせがれネットワークを設立。同NPO代表理事CEOを務める。趣味は読書とバーベキュー。http://www.miyajibuta.com/



吉井:こんにちは、先日は、BBQありがとうございました。
   みやじ豚、旨かったです。

宮治:こちらこそ。先日は、来てくださってありがとうございました。

宮治さんは、毎月定期的に「バーベキュー」を企画しています。100名以上が参加する大規模なバーベキューで、参加するとおいしい「みやじ豚」が食べ放題です!


吉井:さて、今日は、あの旨いみやじ豚の秘密や、
   宮治さんが農業にかける熱い思いを聞かせて
   もらえたらと思います。
   宮治さんが今やっている活動やみやじ豚に取り組む
   きっかけをお聞かせください。

宮治:じゃあ、まずは自己紹介ですね。

   僕の仕事は、主に実家の養豚場の仕事と、
   農業を活性化させるための仕事の2軸です。

   具体的に言うと、まず、実家の仕事は、
   実家で育てている豚を“みやじ豚”としてブランド化して
   販売しています。
   BBQを開催したり、
   レストランでイベントを開催したりしています。

   それから、農業を活性化させるために
   「こせがれネットワーク」という活動をしています。
   この「こせがれネットワーク」は、
   都心で働く農家のこせがれをそそのかして、
   会社を辞めさせて、
   実家に帰って、
   農業を継いでもらうっていうのがミッションです(笑)。






吉井:みやじ豚は、日本では数少ない養豚場個別ブランド豚です。
   僕もバーベキューにお邪魔して、
   そのうまさを体験しています。
   あのうまさの秘密が「腹飼い」なんですよね、

宮治:そうです。
   「腹飼い」は、豚の兄弟同士で飼う育て方です。
   飼育場所も、広めにとります。
   僕が実家に戻ったときには、
   もう父親が長いこと腹飼いで豚を育てていました。

吉井:親兄弟と飼うとストレスがなくて、
   旨くなるというのは、おもしろい事実ですよね。

宮治:腹飼いをすると、お肉が柔らかくてうまくなるし、
   脂身がおいしくなります。食べ比べると、
   すぐに違いがわかると思います。
   あ、でも、はっきり言って、科学的根拠はないんですよ。

吉井:え、そうなんですか。

宮治:数字で証明しているわけではありません。

   群れをなす生き物は必ず喧嘩をします。
   ケンカすると必ず強い豚と弱い豚が出てきて、
   弱い豚はいじめられちゃう。
   最悪、死んじゃうこともあるし、
   餌をろくに食えないでやせちゃうことがある。

   そこまでいかなくても、やっぱり、知らない豚同士だと、
   ストレスがあるみたいなんです。
   そのストレスの影響は、とても大きいんだと思うんです。

吉井:ストレスで、豚肉は堅くなって、まずくなるんですね。

宮治:はい。それと、豚のストレスは、
   豚同士だけの関係が原因ではありません。
   農家に蹴っ飛ばされて、もののように扱われたり
   している豚もたくさんいます。
   そういう豚と、
   兄弟だけで少ない頭数で丁寧に育てている豚で、
   やっぱり味が変わってくるんです。

   そうそう、おもしろい話があります。

   鹿児島黒豚って、日本で最も有名なブランド豚の一つです。
   「鹿児島黒豚」っていうと、
   特別な豚のように聞こえるかもしれないけれど、
   でも、本当は全然そうじゃないんです。
   実は、年間出荷頭数22万頭。
   流通量はトップ5に入ります。
   希少性のあるブランド豚というよりも、
   オーソドックスな豚と言った方が良いかもしれないくらい。

   JA鹿児島が商標をもっていて、
   数百件の農家に同じ餌を買わせています。
   マニュアル用意して、育てています。
  「同じ餌」で「同じマニュアル」で育てている。
   それで、当然同じ味の豚が作れるはずだという。

吉井:建前ですね(笑)。

宮治:僕はそういう言い方はできませんけど。立場上(笑)。
   実際、養豚場によって、味は全然違うんですよ。

   うちは実験で、農協の餌と同じものを、
   豚にあげたことがあるんです。
   そうしたら、やっぱりうちの豚がうまい。

吉井:仲良くやった方がうまい、っていうのは、
   なんか愉快な話です。

宮治:みんな血統の違いと、餌の違いで勝負するんだけど、
   それよりも、
   一番大事なのは育て方なのではないかとさえ思います。

吉井:でも、それに科学的に証明されてないとしたら、
   なんで親父さんはそれをやろうとしたのでしょうか。
   勘ですか?

宮治:親父は共同経営で、他にも養豚場を持っていたから、
   できたのだと思います。
   普通よりも一頭の豚に場所を用意したりしますから、
   ある程度余裕がないとできません。

   道楽ですね(笑)。

吉井:道楽で、おいしい豚が出来上がっていたのかぁ。

   今の豚の話は人間にも通じますね。
   人も緊張とかストレスで、体がこわばるんです。
   そうすると視野は狭くなるし、自己正当化が始まりやすい。
   経営だと良いことないから、余裕とリラックスはすごく大切だ
   という話をするんです。

   豚がおいしくなるということが、
   それと通じる話に聞こえました。





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