
インタビュアー - こんにちは。今日はよろしくお願いします。
吉井 - よろしくお願いします。
イ - 今日は新刊についてお話を伺うために、お時間を頂きました。
吉井 - ええ。宣伝も含んでまして(笑)。ありがとうございます。
イ - 早速ですが、最初の質問をなににしようかと、随分と考えてきました。それで、最初に、すごく「ばくっとした」事を聞きたいのですがいいですか。
吉井 - ええ、もちろん。どんな質問でもどうぞ。
イ - 今回の本は、少し特殊だと思うんです。内容も、構成も、ありそうでなかった形態です。
それで、新刊を書くに当たっての哲学みたいなものがあったのではないかと思ったんです。
もしあるなら、それを聞きたいな、と。
吉井 - 本当にばくっとしてますね(笑)。
イ - すいません(笑)
吉井 - 今回の本は、僕が独立したときから書きたかった本です。
丸2年、ずっと考えてきた内容を、やっと言葉にできた。「やっと」という感はあります。
イ - 2年ですか。それは長いですね。
吉井 - このことは前書きにも書いたのですが、今回書いたことは、僕にとっては本当に本当に大事にしたい内容のひとつです。心の一番奥底で僕たちに影響を与えるものを扱っている、デリケートな内容です。で、書籍にするというのは、いろいろな背景を持つ不特定多数の人が読むということなので、どうしたら伝わるかと悩みました。
テーマの選択でも、いろいろ考えました。マーケティングやセールス、経営戦略、人間成長の本・・・どのテーマでも今回の内容を書けたと思います。でも、そのせいで余計に悩んでしまいました。
イ - 選択肢がある分、悩んだ、ということでしょうか。それはわかる気がします。
吉井 - 自分の筆力の問題もありました。自分の文章に納得がいかなくて、書ききることができませんでした。2年前に、確かに最初の原稿を書き始めています。でも、何十回もそのファイルを削除しています。
こんなに悩んだのは、すこしでも伝わるように書きたかったからです。そして、「残る仕事」にしたかったからです。うん。「残る仕事にしたい」が仕事に向かったときの哲学だと思います。
イ - 「伝えたい、残る仕事をしたい」ですか。
吉井 - 僕は、1つ仮説を持っています。それは、「仕事をしながら自分が気づいたことを、ひとつひとつ無視せず、丁寧に形にすることで、伝わる何かがある」という仮説です。それは今のところ正しい気がしています。
僕の仕事は実践的な知識を創造し、伝えることです。「のこる仕事」と言うのは、相手の中にのこってほしいとか、それによって変化し結果が出るきっかけになるとか。何らかの形で残ってほしいと思っています。
イ - ええ。
吉井 - 少なくともビジネス上では、「知るだけ」ならば、知識ってそれ程意味があるものではないと思っています。大事なのは、知ったあとです。理解したあとに、自分の可能性に気づいたり、問題に気づいたりして、行動に移してはじめて意味が生まれる。
だから、知識を伝える立場としては、丁寧に考えて、研ぎ澄まされた言葉を伝えたい。聞いた後、いてもたってもいられない言葉を。本を読んでもらうという関わり方も含めて、僕と仕事をした人が、それ以前とそれ以降で、世界が違って見えたら素敵だと思います。
イ - 「のこる仕事像」と言うのが少しわかった気がします。
吉井 - とても集中力のいる仕事の仕方ですし、100%うまく行く訳ではないのですが、今回も、そういう仕事をしたいと思いました。そして今回は、納得のいく形になったと思っています。
イ - 内容の話はあとで聞きたいと思いますが、内容以外に気を使ったことはありますか。
吉井 - それは、今回は明確です。
僕は今回「文体」に一番気を使っています。
僕がおもしろいと思って何度も読む本には共通点があります。「内容」がおもしろいのはもちろんですが、それ以上に、何度も読みたい「文体」を持っています。
文体というのは、文章の雰囲気を決めるものです。例えば言葉の選び方。それから「です」「である」「だ」調とか、言い切るかどうかとかといった語尾。他にも、どんな例を持ってくるかなんてことでも、文章の雰囲気が変わります。
僕が何度も読みたい本は、文体が違うことに気づいたので、自分のできる範囲で文体づくりに力を入れました。
イ - 文体に目をつけるとは思いませんでした。私がいつもイメージしているビジネス書とは、少し視点が違うのかな、という気がします。
吉井 - いえ、いい文体のビジネス書もあるんですよ。ただ、とくに今回扱った問題は、デリケートで、
だから、安易に「○○なんだ!」とか書きたくなかったし、書けないと思いました。
そんなことをしたら、自分の中で矛盾ができて、僕の中で「残したくない作品」になっちゃうと思って。
イ - 残るかどうかじゃなくて,「残したくない」。なるほど。
つづく
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