コピーライティングは、お客さんと商品の接点を作る大切な技術。ちょっとした言葉の使い方で、商品が魅力的に見えたり、つまらないものに見えたりします。

コピーライティングとは、何でしょう?
それは、
商品や会社のことを、お客さんに言葉で伝える技術です。
 
商品の素晴らしさは、
お客さんに伝えなければ、お客さんにはわかりません。
表現の仕方でも伝わり方は変わりますし、
商品のどの部分を伝えるかによって、
心に響くお客さんも違ってきます。
 
例えば腕時計を、
「人との待ち合わせの時間を知る」とも
「ステータスとして、あなたの価値を伝える」とも
「ファッションの一部として」とも伝えられます。
 
それぞれで必要とする方は変わってくるものです。
商品のどの部分を、どんな風に伝えるのか。
それを考え、実際に的確に表現するのがコピーライティングです。
 
僕は、商品のことも、その会社が伝えたい想いも
言葉にするサポートをしますが、
それがうまくいくかによって、
伝わり方が如実に変わってくることを、何度も体験しています。
 
では、どうやって考えるのでしょうか?
まず最初は、商品の価値を定義することからはじめます。
 
 

タグライン — 価値の定義

 
最初は、その商品の価値を定義することから始めます。
何を伝えるのかわからないまま、
何かを伝えることはできません。
 
価値の定義は、
「それ(商品)が何か、伝える私たちが把握するために」行います。
 
商品の情報を棚卸しして、
お客さんのことを考えて、
商品を「何として売り出したら、最も魅力的か」を考えるんです。
 
例えば、
コピーライティング。
これ自体は、「文章の作法」にすぎません。
 
つまり、
・エッセーの書き方
・子供の作文の書き方
・広告文の書き方
・ミッションステートメントの書き方
などなどとして、
売り出すことができるかもしれません。
(もちろんそれぞれに独特な方法論は
 あるでしょうが)
 
特に、
広告文の書き方をと、
ミッションステートメントを作るケースとでは、
ほとんど同じ技術を、同じ相手に売る場合でも、
全く違うサービスとして
位置付けることができます。
 
そして、それぞれで価格も、
顧客数が変わります。
 
そこで、
1.まず商品の情報をすべて棚卸ししてみる。
2.商品の周辺で、
  どんなことに困っているお客さんがいるか、考える。

3.そのお客さんたちのことを棚卸しして、理解を深める。
4.商品の価値を定義する。
 
こんな流れで、価値を定義します。
 
 

それをどう表現するか? 惹きつけるためのポイント

 
価値を定義した段階で、僕たちが手に入れているものがあります。
それは「その商品が何なのか」というはっきりとした理解と、棚卸しした商品の情報群です。それらは整理され、「その商品のことを、もっと丁寧に伝えるための情報の道具」となります。
具体的には、下記のような形で、伝えることになるでしょう。
 
・文章
・箇条書き
・キャッチコピー
・写真
 
起承転結をはっきりさせた文章や、必要な情報の箇条書き。それから、タイトル文などに使うキャッチコピー、写真や動画などです。
 
それぞれ、どれだけの表現技術を持っているか(文章は上手か、写真は上手か、動画編集の技術はどうか、など)によって伝わり方は変わってきます。その技術は、学んでもすぐには高くはなりません。スポーツと一緒で、表現もスキルなので、鍛錬が必要ですし、才能も関係します。それでも重要なのは、「商品の何を伝えるのか」がはっきりしているからこそ、商品の特別な価値をお客さんに伝えることができます。その商品が魅力的であれば、難しい表現を駆使しなくても、定義を伝えるだけでも、お客さんは商品の価値を理解してくれるはずです。
 
その上で、惹きつけるための表現のポイントを3つお話ししましょう。
 
 

惹きつけるための表現ポイント1:「損得」

 
一つ目はメリットです。
「人がパンを食べるのは、空腹を満たすためだ」
「人がドリルを買うのは、穴をあけるためだ」
こんな説明をあなたも聞いたことがあるかもしれません。
とても有名で的を射た説明です。
 
自分の商品がどんな風に相手に役に立つのかを説明することで、お客さんは納得し、その商品を買って行ってくれます。
つまり、「あなたの商品は、どんな風に、相手に役に立つか」を伝えるのが、損得です。
 
「このパンを食べれば、必ずお腹いっぱいになります」
 
高校や大学生の頃、
僕は食べても食べてもお腹いっぱいになりませんでした。
パスタとドリアとサラダを食べても、まだハンバーガーが食べられたし、
お寿司屋で5人前食べても「ああ落ち着いた」と思う程度でした。
 
「お蕎麦屋さんの一人前は、何のためにあるんだろう」
(まったく足らない!)
と思っていた頃です。
その頃に「このパンを食べれば、必ずお腹いっぱいになります」
というコピーを聞いたら、
月末のアルバイト代がなくなってきた頃、きっと思い出して
パンを買いに行ったと思います。
 
 

惹きつけるための表現ポイント2:損得以上に、「共感」

 
ただ、僕が「損得」以上に強く人を惹きつけると考えるのが「共感」です。
メリットがあるというだけではなくて、
様々な形で人は商品に共感し、
買いたいと感じ始めます。
 
その共感の種は、
たとえば、「品質の高さ」や、
「売り手が込めた想い」です。
 
作り手が丁寧に作り上げた
品質の高い商品は、
メリット云々とは違う理由で、
手元に置いておきたいと願うものです。
 
同じメリットの商品でも、
品質の高いものを買いたいと思うのが僕たちです。
 
どの車も
「A地点からB地点まで移動する」という意味では
同じメリットです。
多くの商品は、
メリットで語れば、
同じ商品になってしまいます。
 
けれどもどれも、品質が違い、
その品質の違いを的確に表現することで
お客さんが買う理由になる。
それは、「素晴らしいものと一緒にいたい」と共感するからです。
 
商品のことと、その商品を作り上げた作り手の思いを
表現することで、僕たちは、お客さんと共感し合うことができます。
 
 

惹きつけるための表現ポイント3:「一歩引く」こと

 
3つ目のポイントは「一歩引くこと」です。
わかってもらいたいという「想い」に、
たいていの場合、「ことば」は追いつけません。
 
伝えたいのに、伝わっている気持ちがしない。
 
そういうとき、どうしても言葉が強くなっていきます。
過激になり、過大になり、断言が強くなっていく。
 
そういう言葉は清潔感を失って、
ごく一部の人にしか届かなくなってしまう。
 
過大な言葉でなければ届かないとしたら、
それは商品のコンセプト設計や
品質管理が甘いということなのだと思います。
 
もしも「過大な言葉」で売れるなら、
その過大な言葉を現実のものにするために
「そもそも提供価値を高める努力」が大切です。
 
そして、お客さんが買ってくれる商品やサービスならば、
ていねいに事実を語れば、魅力が伝わり売れていく。
過激な言葉は、不要になる。
 
お客さんは買う時に、
売り手が「一方的」であることを嫌います。
だから、一歩引くようなイメージで、
中立、ニュートラルな言葉だからこそ
伝わり、魅力を感じてもらえます。
 
 

わかりあううれしさ、いいものを買ううれしさ

 
伝えることは、
会社のパーツの一つです。
いい商品コンセプトのアイデアと、
それを形にする技術はとても大切だし、
ビジネスモデルを考える力もすごく重要です。
マネジメントがうまくいかなくて
会社の規模が数人から30人で止まっている
会社も沢山あります。
 
重要なことは、たくさんある。
 
それでも、「伝える」ことは、
とても楽しくて、大切なことだと思います。
 
いい商品だと伝えることで、
お客さんは、買い物を楽しむことができます。
いいものを買う時、わくわくすると思いませんか?
商品を持って帰ったり、
家に届くまでの時間が楽しみで、
箱を開けて手に取る時も、うれしくなります。
 
いい商品は「大切に使おう」と思えます。
そのとき、まるで自分を大切にしているような
気持ちにもなれる。
人に話して誇らしい気持ちだって味わえます。
 
伝えることで、
お客さんに価値を提供できます。
 
そして、それをわかってもらえることは、
売上に繋がるとともに、
「わかってもらえた嬉しさ」にも通じる。
 
伝えることはとても価値がある。
それは、
お金、お客さんとの関係、自分の充実感に
直接関わるからです。

ー 事例紹介 ー